7.小児歯科・発育(2)
むし歯菌の母子感染 嶋谷 雅博
虫歯の原因となるミュータンス菌は、
2歳から4歳頃に主に母親(保育者)から感染することが明らかにされています。
子供の口の中に入ったミュータンス菌は、
もともといる常在菌と生えてきた歯の表面(エナメル質)の住みかをめぐって争います。
もしこの戦いに常在菌が勝てば以後むし歯になりにくくなります。
どちらかが勝つかは母親から入ってくるミュータンス菌の量に関係しますので、
母親がむし歯の治療をしておくことも大切です。
ミュータンス菌が定着した場合も必ずむし歯になるというわけではありません。
菌数を少なくする事が大切です。そのために定期健診と予防処置がより重要なものとなります。
6歳臼歯のムシ歯予防 宮内 満喜雄
小学生になる頃には、6歳臼歯と呼ばれる大人の歯がはえてきます。
この歯は大人の歯の中で最も大きく、噛む力も強く、噛み合わせの基本となるとても大切な歯です。
はえ始めの頃は、乳歯と比べて少し低い位置にあり、歯の表面が複雑な形をしていることから、
歯ブラシをちゃんとあてるのがとても難しくなっています。
そこで、この歯のムシ歯予防法として「シーラント」と呼ばれる方法があります。
それは、歯の表面の汚れを除去した後、プラスチックのうすい膜を張り、歯に汚れをつきにくくする方法です。
この「シーラント」はムシ歯予防の有効な方法の一つですが、
日常の歯磨きなどのムシ歯予防法との併用がとても重要です。
むし歯予防は離乳期から 古田 巖
全身的な健康を考えた生活をしていれば、歯の健康にも誠に好都合です。
現代の食事内容は一般的に甘く軟らかいが、今の時代にこそ全身の健康を考えた食生活がなされていると、
むし歯予防が達成されます。好き嫌いなく何でも食べられる味覚形成は離乳食から始まるので、
「好ましい献立であれば食べてもらえる」のではなく、
「食べられる味覚形成が達成されていない」から食べられないのです。
何でも好き嫌いなく食べられるようにするには、離乳食のときから、繰り返し食べさせれば良く、
これを邪魔する「甘い味を覚える」ことは後回しすれば成功します。
甘党にしてしまうと、野菜嫌いになります。
子供の虫歯はお母さんから 大矢啓史
赤ちゃんの口の中は、出産時無菌の状態です。
甘いものを食べても虫歯になりません。ところが、何らかの原因で、家族などから、
ミュータンス菌(虫歯菌)に感染し、虫歯になってしまいます。
お子さんには、お母さんが一度口で噛み砕いた食物を与えたり、同じ箸を使ったりなど、
しない様に注意してあげてください。またお母さんも、できるだけ早く、虫歯の治療をすませて、
唾液中のミュータンス菌の数を減らすのが肝心です。
唾液によって感染が起こるからです。虫歯の多いお母さんのお子さんは、虫歯が多くなる傾向があるようです。
3才頃から、フッ素塗付など虫歯予防するのも効果的だと思います。
生まれたての歯は未完成 岸本高尚
春は健診の時期ですね。虫歯を指摘された方はもちろん、そうでない方も一度お子さんの歯をごらん下さい。
奥歯の溝はどんな形か、汚れが溜っていないか、確認してください。
乳歯も永久歯も生えたばかりのときは未完成です。
口の中に見える部分は出来ているようでも、歯の根は短いのです。
また、歯の頭の部分は石灰化が不十分な上に、奥歯には複雑な溝があるため虫歯になりやすいのです。
対策としては、歯の石灰化を向上させるフッ素歯面塗布、
歯面の複雑な溝を埋めるシーラント処置などがあります。
未完成の歯が成長するには時間がかかります。虫歯を作らないためには、目配りが必要なのです。
永久歯代行乳歯 杉本 左知子
「この子仕上げ磨き、してあげてますか?」と私。
「上の子の時は一生懸命したんですが、下の子は・・・すみません」私に謝られてもねえ。
心当たりのある方は、今晩じっくりと子どもたちの口の中を見てみましょう。
乳歯は、前歯から奥歯まで順にABCDEと呼ばれ、左右対称なので上下20本の歯が並んでいます。
「永久歯に生え変わるんだから乳歯のむし歯くらい」なんて、もしかして思っている方へ、
ドキッとする事をお教えしましょう。永久歯は、先天的に欠如する事があります。
乳歯を一生、大切に使わなくてはならない事もあるのです。
特に、AとCとEにはご用心。