フィンランド式虫歯予防 英保 裕和
フィンランドは約20年前から本気で虫歯予防に取り組み、現在では虫歯になる子供を、ほとんどゼロにすることに成功しています。
米国や豪州でも虫歯は激減しており、これらの国は虫歯予防先進国と呼ばれています。
虫歯予防先進国の成功のカギは、次の5つの方法をうまく組み合わせて使ったことにあります。
@正しい食生活 Aフッ素 B歯磨き Cキシリトール
D定期検診と予防処置(シーラント)
日本でもフィンランド式虫歯予防の方法を提供している歯科医院が増えてきていますので、虫歯のない人生も夢ではなくなってきました。
むし歯予防とフッ素 嶋谷 雅博
むし歯予防におけるフッ素の働きは、大きく分けて3つあります。
@酸で溶け始めた歯(ごく初期のむし歯)をもとにもどす作用
A酸に強い丈夫な歯をつくる作用(耐酸性の向上)
B細菌に対する直接作用(抗菌・抗酵素作用)
最近の研究では、再石灰化の促進がむし歯予防効果としては大きいとされています。
日本は、砂糖の摂取量が欧米に比べ少ないにもかかわらず、むし歯が多いのは、フッ素の応用が遅れているためだともいわれています。
フッ素の応用法には色々な方法があり、フッ素配合歯磨剤使用するのも効果的な応用法の一つです。
患者さんのリスクに応じた使用法が望まれますので、歯科医院で相談してください。
キシリトールの上手な使い方 板東 直子
砂糖代替品としてキシリトールの存在がよく知られるようになりました。
最近では様々なお菓子に含まれるほか、歯磨き粉などのオーラルケア商品にも利用されています。
その詳しいメカニズムはよく解っていませんが、虫歯を作る主犯格のミュータンス連鎖球菌などが砂糖のようにキシリトールを分解できず弱まっていくのです。
ガムならできればキシリトールが50%以上含まれているもの2粒を毎食後に5分以上2〜3月間連続して使用すると良いでしょう。
唾液の増加が見られたり、口の中のプラークの付着が抑えられ、ミュータンス菌も減ってきます。
ただし、正しい歯磨きと食生活をないがしろにしては、効果は期待できません。
虫歯とチョコレートの関係 宮内 満喜雄
チョコレートはよく虫歯の原因といわれます。
虫歯の原因菌がたっぷり入った砂糖を餌に、歯垢の元になる粘々した物質を酸(乳酸)に変え、その酸によって歯が溶かされて虫歯になるのです。
しかし、原料であるカカオ豆には、虫歯菌の働きを抑えるカカオポリフェノールが含まれていると報告されています。
チョコレートの食べ過ぎでニキビが出来たり、鼻血が出やすいという説も因果関係を示すデータはなく、チョコレートとは無関係とされています。
但し、お菓子として砂糖を使っている事に変わりはありませんから、食後の歯磨きは怠らないようにしてください。
永久歯の虫歯の落とし穴 岸本 高尚
永久歯の虫歯の進行は、乳歯に比べ遅く、その反面注意を怠り重症になりやすい傾向があります。
成人期の虫歯は、歯の表面より歯と歯の間で歯肉等に隠れた処に見られる事が多い為、自己チェックが不十分になるようです。
さらに、一度詰めたり、被せたりした歯は虫歯にならないという間違った安心感から、お手入れを怠り、再び虫歯になることもあります。
神経の無い歯では、痛みの症状が現れにくく、虫歯がかなり進行した状況で発見される事も珍しくありません。
二度と生え変わる事がなく、自然治癒力のない永久歯の虫歯の進行を防ぐためにも、一年に一度は歯科医院でチェックを受けてはどうでしょうか。
初期虫歯のケア 井殿 由紀
歯科治療の中で、エナメル質の初期う蝕である白斑がしばしば観察されます。
削って治療する必要の無い状態ですが、放置すると多くの場合虫歯に進行します。
白斑部分の再石灰化の為には種々の方法があります。
歯科医院で行うフッ化物歯面塗布やPMTCなどのプロフェッショナルケア。
家庭で行うフッ化物配合歯磨剤を用いた歯磨きや、キシリトールなどの再石灰化を促す食品摂取によるセルフケア。
キシリトールなどの規則的摂取では、実際に再石灰化が確認されています。
セルフケアでは、ゆきとどかない点をプロフェッショナルケアで補い、う蝕・歯周病から歯を守りたいものです。
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